
八街市M様邸はサイディングボード張りのお住まいなのですが、現地調査時の状態から難付着ボード、外壁の工法は直貼り工法、あるいは通気が阻害された通気工法である可能性が高いと判断しました。
この場合、塗料の選択に注意しなければ施工後すぐに膨れや剥がれに繋がってしまいます。

八街市M様は3社から外壁屋根塗装の見積りを取られ、他社からは劣化部分について「パテで補修して塗っておけば大丈夫ですよ」と言われたそうです。そのままパテ補修と塗装のみで済ませていた場合数年で剥がれていたと思うと…同業者ながら恐ろしいです。
現地調査とご提案

一見綺麗なM様邸ですが・・・
外壁の不具合



経年劣化とは明らかに違う劣化が見られます。
直貼り若しくは通気が阻害された通気工法による不具合で、部分的な発生のためおそらく後者だろうとは思いますが、どちらなのかは外壁を外してみないと断定できない、とご提案の際にお客様にお伝えしました。(後に後者と判明)
直貼りや通気が滞った外壁では、裏面に結露が溜まりやすく、凍結→融解を繰り返すことで塗膜が劣化し、膨れや剥がれが生じます。

この上から水の出口をふさぐように塗装してしまうと、またすぐにボロボロになっちゃうんだって。
難付着サイディング
直貼りの他にもM様邸は気を付けなければならない点がありました。

サイディングの状態を見ると、南面は凍害による剥がれはあるもののコケや汚れの付着はほとんどありませんでした。が、北側に回ってみると…

コケ・汚れの付着があります。光触媒コーティングが施された良いサイディングボードなのですが、太陽光の当たる面は汚れを落とす作用が働き、光の当たらない北面は汚れが落ちにくくなります。

良いサイディングボードなのに何か問題があるの?
難付着ボードによる問題
難付着ボードは塗料も付着しにくいことが一番やっかいで、通常のサイディングボードと同じ仕様で塗装してしまうと塗膜が「ベロン」と剥がれてしまうことがあるのです。このような難付着材の場合も、直貼り工法と同様に塗料選びが重要です。

それなら塗装しないで、汚れを落とすだけでもいいんじゃない?
実は光触媒コーティングも効果が永久に続くわけではなく経年とともに効果は落ちてきます。また、光触媒コーティングの劣化とは別の問題として、高圧洗浄は劣化した塗膜も一緒にはがしてしまうため、はがれた個所から吸水→凍害となる可能性が出てきます。
そして、お住まいはサイディングの目地(コーキング)や屋根の塗装、破風板や幕板といった付帯部分も経年劣化します。



特に目地は施工時のプライマー不足で剥離していたりひび割れていたりするとそこからサイディングが吸水して凍害に繋がりますのでやはり定期的なメンテナンスは必要です。
(M様邸もそうですが、新築時の施工不良でコーキングがサイディングから剥離しているケースも非常に多いです)
もちろん、色あせやその他の劣化がなければ表面にクリヤーコーティングを施すだけで済むお住まいもあります(その場合もコーキングの劣化具合によって打ち替えなどは別途必要)。

M様邸の場合は前述したように通気が滞る工法によりサイディングが設置されているが故の不具合が既に起こっていますので、やはりその不具合を補修して塗装するのが一番長持ちさせられる方法だと考え、今回は外壁の一部張り替えと塗装・屋根・付帯塗装ご提案いたしました。
外壁の張り替えと塗装





まずはお住まい全体を業務用の高圧洗浄機で洗浄していきます。
コーキングの打ち替え・打ち増し


外壁の目地コーキングは打ち替え、窓枠周りは打ち増しです。

なんで窓の周りは打ち替えないの?
コーキングを撤去する際にはカッターのような工具を使用するのですが、サッシ周りは奥まっていて撤去が難しいうえに、サッシは金属や樹脂でできているため傷をつける恐れがあるからです。また、傷を恐れて撤去できない個所があるとそこから劣化が早まってしまいますので、メーカー指定の適切なコーキングの厚みが確保できるうちは打ち増しをお勧めします。塗り替え時にコーキングの厚みが確保できないほど既存のコーキングが分厚かったりする場合は打ち替えとなります。
超重要!プライマーの塗布


コーキングを打ち込む事前準備としてとても大切なのがプライマーの塗布です。コーキング自体の密着力はそれほど期待できないため、外壁との密着力を高めるための接着剤となるのがプライマーです。プライマーを塗り込むときに塗りムラがあるとコーキングが早期剥離し、剥離した部分からサイディングが吸水→凍害につながるため、プライマーはしっかりと塗り込む必要があります。
美大塗装のこだわり!釘頭のコーキング処理

外壁をよく見ると、サイディングを固定している釘の周辺が欠けています。

他の場所でも釘頭周りのサイディングが欠けています。サイディングではよくある不具合です。
家は地震だけでなく日々軽微な振動に晒されているのですが、振動によって家が動くと柔らかいサイディングが釘に負けて周辺が欠けてしまうのです。※このまま塗装してしまう業者さんも多いので注意してください。

美大塗装では、こういったケースでは釘頭にコーキングを打ち込んで水の侵入を防ぐ処理を必ず施します。塗ってしまえば見えなくなるひと手間ですが、外壁塗装は下処理が何より大切です。


塗装で直せない外壁を張り替え

サイディングボードを切断して開けてみたところ直貼りではなく通気工法だったので少しホッとしました。
やはり胴縁(どうぶち)がぴったりと窓まで設置してあり、空気が通らない構造になってしまっています。
劣化した防水シートと腐食した胴縁を撤去し、新しい防水シートと樹脂製の胴縁を設置しました。


もう一つの問題、軒天の通気見切り
実は、M様邸には大切な“軒天の通気見切り”が設置されていませんでした。直貼り工法の場合は”通気しない”ので通気見切りが無いのもわかるのですが、全体的には通気工法なのに通気が遮られて軒天の通気もない、という状況です。しかし、構造を変えるとなると「外壁張り替えの大工事」になり予算も数倍になりますので、今回はお客様とご相談のうえで塗装工事で対応できる範囲の最大限の修繕を行っています。
胴縁の間隔をあけて対処したとはいえ、上記の現状により依然として通気には不安が残ります。

そのため、新しく貼るサイディングは念には念を入れて、裏面からの吸水を防止するために防水塗料を塗布しました。
このサイディングをカットして設置します。



お住まいのワンポイントにもなるようなコンクリート打ちっぱなし風のサイディングです。
外壁塗装
最後に外壁の下塗りを1回、上塗りを2回ムラなく塗り上げて外壁は完成です。



金属屋根の塗装

棟板金を触ったところ、怪しい
棟板金が強風などにより落下することを予防するため棟板金のビス止めをご提案していたのですが、どうも残った釘も効いていなさそうでした。
釘を抜いて横からのぞくと…やはり棟下地の腐食が進んでいそうだったので、一度棟板金を外します。





木が腐っちゃってる~!強い風が吹いたら板金が飛んでいきそうだね。
下地の腐食で一番危険なのは、台風などの強風で棟板金自体が飛ばされて行ってしまうことです。ご近所様お住まいやの車に当たったり、人に当たったりすると大事故に繋がります。
台風が終わると「棟板金が落下した(または剥がれている)から見に来てくれないか」というお問い合わせが増えるのですが、立て込んでいてすぐに行けないこともありますので、足場を掛けられる機会にきちんと点検・修繕しておくことが大切です。
棟下地の交換
釘穴から雨水が侵入し、徐々に下地木を腐らせていったようです。このままではビスも効かないので撤去して新しい棟下地と交換しました。こちらは火災保険の申請書類一式を作成し、無事保険で対応することができました。



新しい下地なら安心だね!
棟板金のビス止めとコーキング


下地の木が腐らない限り、ビスのほうが抜け落ちる心配がないので釘より安心です(新築時は釘打ちが通常仕様)。
棟板金の重ね部分とビス頭にプライマーを塗布してコーキング処理をし、水の侵入経路をふさぎます。
金属屋根塗装の下処理、ケレン
M様邸はもともと金属屋根でしたので、タスペーサーは不要です(他社見積もりではタスペーサーが記載されており、数万円アップだったとのこと)。
塗料の密着を高めるために表面を粗目のヤスリで細かな傷をつけていきます。金属屋根はスレート屋根等と比べ表面がつるつるしていますので、このままでは塗料が密着しにくいのです。


金属屋根の塗装
細かい部分は先にハケで塗り込んでおきます。


下塗り+上塗り2回塗りで屋根塗装は完成です。



金属屋根塗装ビフォー

金属屋根塗装アフター

付帯部塗装
破風板と雨どい金具


雨どいを固定しているビス頭の周辺も欠けています。これでは吸水してしまいますので、雨どい金具を外してコーキングで補修し、ビスを打ち直しました。


付帯部のケレン



塗料と建材の密着力を高めるために表面を荒らします。その後下塗り・上塗りと塗り重ねて完成です。



使用材料

外壁上塗り塗料
アドクールAqua
塗料メーカー
NCK
金属屋根上塗り塗料
アドクールAqua
塗料メーカー
NCK
付帯部上塗り塗料
ダイナミックTOP
塗料メーカー
関西ペイント
コーキング
SRシール NB50
コーキングメーカー
サンライズ


